宮城県が、観光振興財源となる宿泊税の導入に必要な条例改正案を2月の県議会に提案する方向で調整に入ったことから、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合(佐藤勘三郎理事長)、日本旅館協会東北支部連合会宮城県支部(同支部長)、みやぎおかみ会(阿部憲子会長)の3団体が12月11日、反対緊急集会を仙台市の仙台ガーデンパレスで開催。業界関係者ら約130人が参加した会場には、“宿泊税導入反対”の横断幕を掲げ、シュプレヒコールで気勢をあげた。
緊急集会で佐藤氏が、既に税を導入している東京都、大阪府、京都市、金沢市、倶知安町(北海道)との導入前の背景の違いを挙げ、税の導入反対を説明。佐藤氏は「徴税目的が不明確であり、なぜ宿泊業界だけが新税を担うのか。これまでの観光関連事業に対する『検証と精査』は行われたのか疑問がある。また、県が示す必要とされる予算は、原価積み上げ方式を採用している点に問題がある」と指摘。安易な宿泊税ありきに異論を唱えた。
県は国の東北観光復興対策交付金が終了する2021年4月からの導入を目指す考えだ。具体的な税額を検討してきた県観光振興財源検討会議(田中治会長・同志社大教授)は、ビジネス目的の旅行者を含む観光客から1人1泊100円から500円までの5案を示し、条例の施行後5年ごとに制度のあり方を検討することが望ましいとの答申案をとりまとめている。
東日本大震災からの復興は道半ばであり、2019年の台風19号で県南、県北で甚大な被害が発生。観光業の営業が危機に瀕している現況にあり、綿密な検証の必要性が高まっている。
緊急集会で気勢を挙げる宮城県の旅館団体